toggle
2021-06-23

奏郭の家

新潟市西区内野地区。かつての新興住宅地であり、所々で世代交代のため建て替えや改修なども行われている住宅地の1区画である。
主要道路から入ると、閑静でひっそりとした雰囲気のある地域である。

敷地は約100坪ほどで、北側道路に面している。
また東側には市道ではあるが車両が通行不可の遊歩道的な道にも面している。
敷地の広さには充分すぎるほど余裕があったが、その反面外構や土間スペースなどに費用を要し、
いかに住宅部分のコスト面を圧迫せずに計画できるかということが課題であった。
また、住宅街であるため、周辺からの視線を考慮する他、東面の遊歩道を頻繁に通行する人々からのプライバシーの確保が重要であった。

敷地に余裕があるため、1Fを生活主体とする計画で進め、
自家用車の駐車スペースの確保や、広々としたLDK空間や水廻りスペースの確保、家事動線の容易さを計画すると同時に
周辺からの視線などの考慮し、かつ敷地の広さを少しでも有効に使えるように中庭を配置する案を提案するに至った。

将来的な家族の増員も視野に入れ、広めの玄関とリビングに抜けることのできるウォークイン収納、広いLDK、個別の洗面室とW.C、広い脱衣室、家族全員分のW.Iクローゼットを配した。
またキッチン脇のパントリースペースからは、
冬場のスノーダンプやタイヤ、野菜などのストック、ゴミの一時保管ができる大容量の外部収納を計画した。
外部収納は直接外部から出入りできるようにしたことで、家事動線をより豊かにしている。

2Fには各個室のほか、たっぷりの納戸を設け家族の布団や、これから増えていく家族の思い出の品々を収納できる計画とした。
また、ご希望であったご主人の書斎を計画し、その横には階段吹き抜けの上を利用した、かわいいベンチを造作している。
横のフリースペースと関連して、子供の絵本の読み聞かせや、遊ぶ子たちを見守るためのちょっとした休憩スペースにもなる。

設計の核ともなった中庭には、家族を守る郭となるしっかりとした壁を設けている。
壁の素材には、木格子を配して、旋律が美しく陽の移ろいの陰影を感じさせる工夫を入れ込んでいる。住宅街の中でも自然や気候の変化を感じ取り、
暮らしていく家族が、家と共に成長して良き思い出がたくさん増えるようにと想いを込めた設計となった。


『奏郭の家』:専用住宅

 所在地  : 新潟市西区内野地区
 用途地域 : 第一種中高層住居専用
 防火指定 : 法22条適用地域
 構造   : 木造軸組金物工法(耐震等級2)
 認定長期優良住宅 Ua値:0.45 [W/㎡K] ηa値:1.4[W/(㎡・K)]
 階数   : 地上2階
 最高高さ : 7.015M
 最高軒高 : 6.035M
 前面道路 : 6.0M(北側)
 敷地面積 : 298.34㎡
 建築面積 : 108.34㎡
 延床面積 : 145.76㎡(1F:84.47㎡ 車庫含む/ 2F:61.29㎡)
 竣工   : 2022年7月25日
 Photo  : 星野 裕也 
      : 遠藤 大樹(アンドウッド株式会社)

 

関連記事